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01. ACTION 02. DIVING 03. PRIDE IN THE WIND 04. RED CARPET 05. TEENAGE 06. WELCOME BACK 2 -1983 Edit- 07. 夏の終わり 08. N43 -1983 Edit- 09. ELECTRIC MUSIC
10. YOU CAN FIND 11. MALIBU

10. YOU CAN FIND 11. MALIBU

先行シングル、「 WELCOME BACK 2 」 (2007) につづき、オリジナルとしては『 NETWORK -Easy Listening- 』 (2004) 以来、約3年8ヶ月ぶりにリリースされたアルバム、『SPEEDWAY』。
タイトルにTM NETWORKの結成以前、彼らが所属していたバンド名を冠した本作は、その名のとおり、「WELCOME BACK 2」でドラムにそうる透さんが参加している以外はすべての演奏と歌をメンバーだけで行った、アマチュア的ともいえる(「SPEEDWAY」はアマチュアバンドではありませんでしたが)手法を全編にわたって採り入れたアルバムです。
すなわちこのアルバムタイトルそのものが、この作品の明確なコンセプトとなっているのです。
このアルバムを体験したあとでは、かつて彼らが発表してきた曲のタイトルをほぼ羅列しただけのサビが過去にすがっているようにしか感じられず、イヤな気持ちにさえなった「WELCOME BACK 2」も、この『SPEEDWAY』へと至るべく乗り込んだタイムマシンの窓から見える風景であるかのようにさえ思えるのです。
彼らが発信するコンセプトにドキドキするこの感じ、半ば忘れかけてさえいたのだけれど、これがすごく好きで、TMのファンをやめられずにいたのでした。いまハッキリと、思い出しました。
さて、実際に聴いてみますと、やはりその制作手法から、全体的にこぢんまりとまとまっている印象。
しかしながら、小室さん主導ではなくメンバー全員でつくりあげられたからか、バリバリに計算しつくされた気配がない一方でセッション的な楽しさを感じとれ、そして全11曲のうち5曲の作曲を木根さんが手がけているからか、どこか丸みを帯びた、ときとしてアコースティックにさえ聴こえる楽曲がしばしば見受けられるなど、これまで聴いてきた彼らの作品のどれともちがう空気が、このアルバムには流れています。
実はラスト3曲がインストというのがアルバムの統一感を壊しているとは思うけれど、それらをオマケと考えれば(「YOU CAN FIND」はこのアルバムのコンセプトにおいてとくに重要な位置づけぽいですが、曲順が悪すぎるかと)、掲げられたコンセプトは、しっかりと音に現れております。
一方で裏を返せば、スター性というと大げさだけれど、彼らが放っていたかつての輝きは、本作にはないです。
ぼくは「TMはなんでもアリ」と考えているので、このアルバムを好意的に解釈できますが、彼らが、あるいは小室さんがもっとも活躍していたころの音楽を期待してふっと本作を聴いてしまったときには、ただただショボく感じられてしまうかもしれないです。